生体情報コース

ナノ材料で切り開く診断・医療技術

1 ナノガラスで、がん治療用カプセルを作る

がんなどの疾患部位に効率良く薬を届け、かつ副作用を軽減するためのナノカプセルを、薬輸送システムと言います。
私たちの研究室では、スポンジのようにたくさんの穴の空いた、直径1万分の1ミリメートル程度のガラス球を、抗がん剤を包むカプセルとして使っています。そのスポンジ様ナノガラス球の中にがん治療薬を内包し、ガラス表面を特殊な高分子で包んだ薬輸送システムを開発することで、従来の薬投与法にくらべて100倍以上の効果が得られました。その様子を、光学顕微鏡を用いて細胞レベルで観測しています。

2 細胞の内部を探る

現在の技術では、太さ1万分の1ミリメートルの金属の針(ナノワイヤー)を作成することができます。私たちの研究室では、そのナノワイヤーを細胞の内部にまで差し込み、細胞内部に存在する微量の化学物質に関する情報を得る技術を世界で初めて開発しました。この技術を用いることで、たとえば細胞内に取り込まれた微量の薬分子などの検出に成功しています。
また、同様の技術を用いて、遺伝物質を細胞核内に直接届ける方法の開発もおこなっています。この技術は、とくに遺伝子治療への応用を目指しています。

3 生化学センサー開発

がんなどの疾患の治療には、早期発見がかかせません。私たちは、超早期発見を可能にするための生化学センサーの開発にも取り組んでいます。特に私たちは、光のエネルギーが金や銀などの表面に閉じ込められる表面プラズモンと呼ばれる現象を利用して、一つ一つのプロテインを個別に検出する方法を開発しています。右図では、蛍光という分子が光を発する現象を利用して、金属ナノワイヤー表面でプロテインを一つ一つ検出している様子を示しています。この方法を用いて、手軽に扱える超高感度センサーの作成を目指しています。

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